大学2年生なった僕たちの学び:鹿間謙伍の場合

大学生になった鹿間謙伍くんが、大学に入学してからどんな学びをしているのかを書いています。

今回は、大学生になった僕たちの学び:鹿間謙伍の場合でご紹介した私が結成したチームの活動から見えたリーダーの本質についてお話したいと思います。最後に活動報告もしたいと思います。

プロジェクトチーム結成

まず、私が結成したチームについて軽く紹介します。チームの人数はメインメンバー4人サブメンバー4人の8人で全員大学生です。私が、ひとりひとり「宇宙開発で、こういうことをしたいんだ!こういう思いで、こういう計画でやっていきたいんだ!!」と熱弁して、メンバーを集めました。

大抵、二度三度断られましたが、会うたびに宇宙の話をして、「どうかな?どうかな?」と誘うと、折れてチームに参加してくれることになりました。この、チーム結成までの経緯はこれから起こるステキな予感に満ちていて楽しかったのを覚えています。

結成目的は宇宙開発をすること。メンバーは、それぞれ化け物じみた何かを持っています。ロボカップ世界王者・触媒研究者・人狼知能大会出場者兼人工生命研究者・デザイナー・経営戦略マネージメントなどなど、どれも目を疑う、耳を疑う、特異な力を持った人間ばかりです。

自信喪失・自己嫌悪

チーム全体としても、リーダーとしても、大きなターニングポイントになったのは、今年の4月のことでした。

チームメンバーは全員、宇宙開発の経験がありません。それぞれ、宇宙工学を専門にした知識もスキルもありません。しかし、宇宙工学ではないけれど、誇れる能力を一人一人が持っている。

だったら、「それをチームの武器にしてしまえばいいじゃないか!宇宙工学が専門でないからこそ、見える世界がある。溢れるアイデアがある。拓ける宇宙がある。」と信じていました。さらに、チーム全体で、「面白い!やってみたい!」って思ったことがあったら何でも噛みついて、それを自分のものにする力があったので、これも武器になると思っていました。

そこで、チームの文化(チーム内に存在する独自の雰囲気や気質・特性のこと)として、「不連続への挑戦、とりあえずやってみよう!宇宙をハックする!」を形成することをリーダーとして試みました。具体的には、以下の5つのことをチーム文化形成のストラテジーとして心がけました。

1. チームの文化をメンバー間で共有すること。
2. 小さなアイデアから出発して、チーム全体でプロジェクトをまずは1つ実行すること。
3. 技術系イベントに参加すること。
4. 最新技術の勉強会を行うこと。
5. アイデアを出し合う機会を設けること。

痛恨のミス

ここで私は、取り返しのつかない大きな失敗を犯してしまいました。チームミーティングでアイデア出しをしている最中に、私とメンバーの雑談で1人のメンバーがせっかく出したアイデアを遮ってしまったのです。

アイデアを遮られたメンバーは、もともと人前で話すことが得意なタイプではなく、遮られてしまったアイデアは何日も何日も温めてようやくできたアイデアだったので、これを雑談で放棄されたことで相当なショックを受けたようでした。

「自分のアイデアは、そんなに価値がないものなのか?メンバーとしての自分の価値はどこにあるのか?」と、その後そのメンバーに問い詰められ、ただただ謝ることしか出来ず、猛省しました。

自分が大切にしているチームを自分で崩すなんて、チーム文化として、「とりあえずやってみよう!」を形成しようとしたのに、それを自分で邪魔するなんて、愚かな行動だった。リーダー失格だ。俺にチームを引っ張る資格はない。

自分の何かが崩れ去るのを感じました。

ダメな自分と向き合うことで

「自分がそれだけチームを大切にしていて、そういう行為にまで及んでしまったってことを正直にメンバーに伝えるべきじゃないか?それをきっかけに逆にチームの結束が高まる可能性もあるよ!」

自暴自棄になりかけた私に、寮で同室の立野温さんからアドバイスをもらい、もう一度チームと向き合う決心をしました。(温さん、あのときは、本当にありがとうございました!)

実際に、面と面を向かってチームにそのことを打ち明けました。「こいつ、やべぇ。関わるのやめよう」ってなるんじゃないかとビクビクしましたが、まったく逆の結果になりました。みんなが心配してくれて、チームのことについて考えてくれて、他のメンバーが仲介して円滑にチームを回してくれて、本当にチームの結束力が高まりました。

それまではチームミーティングの大半は、リーダーがしゃべっていましたが、メンバーのしゃべる回数が急激に増え、チーム全体にも、リーダーに対して個人的にも、「こうした方がいいんじゃない?」という相互にコミュニケーションが取れるようになりました。アイデアの数も急激に増え、ほとんどアイデアを出さなかったメンバーからもバンバン、アイデアが出るようになりました。結果的に、チーム文化「不連続への挑戦・とりあえずやってみよう、宇宙をハックする。」を形成することができました。

最後に

1年間のチーム活動を通して、みなさんにお伝えできるのは、リーダーの本質と定義についてです。この1年間で、リーダーにおいて最も重要なこと、それは「質においても量であっても、チームについて考える時間がどれだけ多いか」という一点に尽きるということを学びました。

リーダーの仕事は何もしないことだとか、優秀なリーダーは何もしない、みたいな論もありますが、私は断固否定します。チームの内外はどういう状況なのか、メンバー間でうまくいっていないところはあるのか、プロジェクトはどう進めるべきか、考えなければならないことは無限にあります。

リーダーの定義も「チームについて考える時間が多い人間がリーダーである」という完結なものになります。リーダーの本質・定義は、答えを出してみれば、非常に単純明快で当たり前なことでした。

シンプルな答えにたどり着くまでは時間がかかるが、最も美しい答えだと数学では言われます。私は、死に物狂いで1年間活動して、導き出されたこの答えに「今は」自信を持っています。