犬は吠えるがキャラバンは進む:時は私たちに同じく流れているのか vol.4

みなさん、こんにちは。熊谷優一です。今回は「時間はどこから来て、なぜ流れるのか?」という本を課題図書にした読書会についてとりあげた、「犬は吠えるがキャラバンは進むhttps://knowledge-caravan.com/category/thedogs」シリーズ最新作の最終回になります。

熊谷が現任校の生徒たちとで昼休みに行っている読書会の模様をお送りします。
久しぶりにリリースされる本シリーズ。熊谷が現任校の生徒たちとで昼休みに行っている読書会の模様をお送りします。
久しぶりにリリースされる本シリーズ。熊谷が現任校の生徒たちとで昼休みに行っている読書会の模様をお送りします。

では早速、読書会に参加した生徒の感想をお届けします。

生徒A
読書会をする前は、昨日の先生方のディスカッションの内容がすごくて、どんな風になるか心配で不安でした。だけど実際にディスカッションをすると、どんどん「あれ、じゃあこれってどういうことだろう。」って疑問が浮かんできて、普段の自分ではしないようなものの見方ができるようになりました。それと、自分の疑問を友達と共有できたから、一緒に考えることができて、私だけでは思い付かないようなアイデアになったりもして、疑問が浮かぶたびに話したくてしかたなくなりました。今回のディスカッションで疑問を共有して一緒に考えることの楽しみを感じられました!!
クマユウ
コメントありがとう!疑問って湧くよね。湧き上がった疑問を集めてみると自分って人間がどんな知識を持っていて、どんな知識を持っていないのかがわかると思うんだ。覚えているかな?「自分の知識という銀河」って話をしたのを。その銀河はどんな大きさの、どんな特徴を持った惑星で形成されているだろう。それを重力に絡めて考えてみたりとかさ。

「疑問が浮かぶたびに誰かに話したくなる」っていう学び場を作ることってさ、先生だけじゃできないんだ。生徒のみんながいないとね。先生たちも昨日楽しかったです!

生徒B
この本とディスカッションを通して、自分の専門分野をもつことと他者とディスカッションを通して意見交換をすることがどれだけ重要かわかりました。この本は私にとって初めての類いで、正直読みにくかったし、先生方のディスカッションを聞いて、必死に理解しようと頭がパンクしそうになりました。でも先生方の得意な分野において質問が飛んできたときや説明してくださるときに、凄くわかりやすくて、且つ専門的な具体例を出してくださっていて、何か1つのことでエキスパートになるのは、大変だけどやりがいのあることだと感じました
クマユウ
今まさに、「こんな読みにくい本」を読む時なんだ。高校はそのためにある。講談社のブルーバックスとか、岩波文庫とか、本屋さんに行ってみるとタイトルを見ただけで身震いするような本に出会えるよ。どんな本がいいかわからないって人は、今回の本の巻末(228-229)に作者が参考にした文献がまとめられているのでそれをひとつの目安にしたらどうだろう。お父さん、お母さんに聞いてみてもいいし、自分の興味がある科目の先生に聞いてみてもいい。この本で自分が目覚めた!みたいなのに出会えるといいね。
生徒C
前々回はオンラインで見ていて、画面越しからでも先生方の熱が伝わってきました。そして、本当にこんなに高度なディスカッションが私達にできるのか、と不安でいっぱいでした。でもいざやってみると意外と気軽に「時間」について話し合うことができることに驚きました。一つの話題から色んな意見が飛び交い、「じゃあ○○って○○ってことなんかな?」と疑問が浮かびっぱなしでした。一人で考え込むのもいいですが、他者と交流したことで新しい観点から考えることができ、わからないところや複雑な概念も共有し合えることができました。このようなジャンルの本を読んだのは久しぶりで、ややこしいことや一回読んだだけではわからないところもありました。でも今回の読書会で少しスッキリしましたし、なんならもっと話し合ってみたかったなと思いました
クマユウ
みんなはやってみたら全然普通にできたみたいだし、読書会が終わっても議論は続いていたよね。休み時間だったり、帰宅途中だったり、家で御飯食べるときだったり、風呂に入っているときだったり。学ぶことってそもそも授業の50分じゃ全然終わらないでしょう?こういうセションは前任校で始めたんだけど、その時の生徒がこんなふうに書いてくれています。時間があったら読んでみてください。

自身を普通中の普通と語る酒井優輔君が、自身の体験と今後を語ります。
悩める青年、酒井優輔くんのエントリーです。
生徒D
最初の先生たちのディスカッションを見ていて、正直 先生たちのように自分の意見をしっかりまとめてディスカッションができるか不安でしたが、いざ話してみると不安なども全然なく、時間などについて話し合うことができ、あっという間に終わってしまいました。他人と疑問や知識を共有することで自分がこれまで疑ったこともないようなことを疑い、なんだかもっと知識欲が出てきました!理解が深まるとともに疑問も深まったと思います。なんだか全然スッキリしてない感じがします!
クマユウ
やってみたら案外できたってことよくあるよね。ということは、だ。やってみないうちから、できないって思うのは損だって思わない?可能性に自分でブレーキをかけるってもったいない。よかったら、このリンク読んでみてください。

筑坂卒業生の古井愛さんが寄稿してくれました。
高校時代インドネシアに留学した古井愛さんの待望の新作です。

スッキリしない感覚、いいねぇ!知識のエントロピー発生中!

最後に

本読書会は現任校で国際バカロレア・ディプロマプログラムに興味を持っている高校1年生を対象に行いました。1回目は専門分野が異なる3人の教員の議論を見て、2回目は自分たちで課題図書について議論します。

この読書会には3つの目的がありました。ノンフィクションの文献を読み解く習慣をつけること、学習対して主体的に取り組めることが可能なのだと信じること、そして知識は教科の中で完結するのではなく、互いに関連しあっていることに気づくことです。その3つを生徒たちにわかってほしくて実施しました。

別に、国際バカロレアのプログラムで学ぶから必要なスキルというわけではないと思うんです。伝統的な日本の学校教育を批判する人もいますが、私が教わった先生たちの中には、このことに関しては授業で扱われなかったとしても、雑談の中で教えてくれていました。わざわざ授業で扱わなくても、個々人でそれができるくらいの読書習慣はかつて中学生だった読者のみなさんも持っていたと思います。

大人たちも本をよく話題にしていましたよね。話を聞くだけでも楽しかったのですが、子供ながらにその輪に入りたくてウズウズしていましたもん。あんな本を早く読めるようになりたいなって。

そうか!幼い私にとって。本読んで終わりじゃなくて、本を読んだあとそのことを話す人がまわりにいるっていうことが本を読む楽しみだと認識したのかもしれませんね。一番てっとり早いのは家庭です。家族で同じ本を読んで、それについて語り合ってみる。子供も大人も知識の翼を広げられる自由を実感できると思います。