TOKマインド活用法 in DP歴史 Paper 3

みなさん、こんにちは。熊谷優一です。

昨日、私にとっての前任校、大阪府立水都国際中学校高等学校を訪問しました。もう開校してから7年経つんですね。中学2期生が高校3年生になっていました。

そんな、最終試験を10月中旬に控え、そろそろMock(模擬試験)を迎える高校3年生のDP歴史Higher Levelの時間にお邪魔しました。教えるのは、我らが梶木尚美先生です。梶木先生とは私が筑波大学附属坂戸高校で国際バカロレアの担当になったあたりに、確かワークショップでご一緒したのが出会いだったかと思います。それ以来、国立大附属高校は結構な頻度で研究会や研修があって、行くたびにいるので(おまえもそこにいるだろうて話ですが)いつの間にか親しく話すようになりました。

当時は全国の国立代附属校でIB導入を検討していたこと、IBについて黎明期だったことも手伝って、たくさん勉強して、これをどう学校教育に落とし込むかを知識が豊富な梶木先生と議論したことがIBコーディネーターとして私の血肉になっているのは確かです。

さて、訪問した梶木先生のDP歴史Higher Leavelの授業は過去問の問いを分析していたところでした。確か、「内戦の結果に外国勢力の影響の重要性について議論せよ」というような内容だったと思います。生徒たちは分析が浅く、狭く、甘く、問いを解釈しきれていないようでした。Mock(模擬試験)を受けていないので、これは毎年のことです。Mockを経て、今まで学んだきたことをどう試験の時に落とし込むのかという視点を手に入れるはずだからまだ大丈夫。練習試合だと思えばいいのです。

DPの文系科目とTOKは取り組み方に親和性があるので、生徒の皆さんにはTOKマインドを応用して、問いに取り組んだらどうかと助言しました。知識を多角・多面的に考察する科目なので、もっと問いに含まれる語句の定義を吟味していいし、その中で発想を豊かにできるはずです。例えば、こんな風に……。

問いの生徒たちは「内戦の結果」は内戦終了直後の勝ち負けに限定して議論しているようでしたが、時間軸をもう中長期のスパンで捉えてみたらどうでしょうか。自分が生きている現在の視点から内戦の結果を見るのか、内戦終結当時の視点から見るのか、内戦後5年とか10年後の視点で見るのかと言ったような、縦の時間軸で考察することはTOKでトレーニングされているはずでし、文学の授業でもHistorical Lens(歴史的視点)も扱いますからね。そういう視点を歴史の問題に取り組む時にも応用すればいいです。

しかしながら、DPの問いはあまりにもオープンすぎて、どこから手をつけていいかわからなくなって、いっぱいいっぱいになってしまうのもわからなくはありません。どうしていいかわからないほど精神的にアップアップになったら、それをマネジメントするスキルも大切です。

この問いで生徒たちが分析していた事例は「国共内戦」でした。国民党と共産党の対立ですね。それについてファクト(事実)を洗い出して、視点をいくつかに絞れば自ずと主張を立てることができます。マインドツリーのアプローチが問いに圧倒された時は有効ではないかと思います。自分が知っていること、知らないことに仕訳し、知っていることを洗い出せば取り掛かることができるタイプの問いです。

しかも、この手の問いは、答えは絞られるでしょう。TOKエッセイには「どの程度同意するか」という問題の類型があります。毎年6つの問いの中に必ずいくつかはそんな問いが出ますよね。この場合、答えは3つしかないのですよ。

昨日、出会った、水都のDP歴史HLを取っている生徒の皆さんなら、それをもうみんなに説明できますよね?7/27(日)もチャリティ・キャラバンの午前中11:00からの

現役DP生のみなさん、7/27(日)の午前中に元TOKプリンシパル・イグザミナーの熊谷がTOKエッセイへの取り組み方についてシークレットギグを行います。詳細はこちらのエントリーをご覧ください。
">シークレットTOKギグではもう一度聞きますから、ぜひ参加する大阪女学院や他校のDP生に説明してくださいね。女学院の先生たちには7月に、そして女学院の生徒の皆さんは二学期にそれを詳しくやりましょう!

TOKで学んだことはTOKにだけ有効なわけではありません。DPのプログラムデザインを表すあの円を見れば分かる通り、DP の科目に総合的に関わっているのがTOKです。ということはTOKで学んだことは他科目に活かすことができるということです。

高校3年生のDP生の皆さん、これまで学んだありとあらゆることを総動員してまずはそろそろ始まるMockに取り組んでください。Mockをやれば感覚が掴めるはず。自分は何が言語化できて、何ができないのか。それを分析して10月末に始まる最終試験に臨んでください。

夏休みは大学進学や奨学金獲得の準備にも結構時間を取られます。二学期になると早いところだと入試があるかもしれません。思ったように最終試験のために時間を割けない可能性もありますから、評価に含まれる各科目の提出物は早めに終わらせておきましょう。TOKエッセイの第一稿は夏休み前に終わらせておくことを勧めます。

最終試験の決起集会というか、ストレッチというか、もしよかったら7/27(日)に大阪女学院で開催されるイベントの午前中11:00-12:00にTOKに関するDP生向けのセッションを行います。用意する資料の準備があるので、イベント申し込みの際の最後、備考欄に「ギグ参加希望」と書いてくださいね。

https://knowledge-caravan.com/post-5931

さて、2年ぶりに訪問した水都国際には、高校一期生が教育実習にきており、緊張した面持ちで翌日の研究授業の準備をしる姿に感動を覚えつつ、帰宅鏡に映った自分の誤魔化しきれないほど猛烈な勢いで白髪が増えている自分に年月を感じたところであります。

PS. 2019年のナレッジキャラバンに参加して、一緒に写真を撮った当時小学生だった君に再会できて先生はとても嬉しかったです。君の眼差しはあの時のままでした。そして、ブログを読んでくれている君へ。ブログを始めたのはIBについて何も知らなかった2017年。でもやってきてよかったなって心底思いました。そんな気持ちにさせてくれてありがとう。来月イベントで二人で司会をやってくれたら先生なお嬉しいです笑。よかったら連絡くださいね。